複数犯・事件への告訴効果と範囲

  1. 主観的不可分(複数犯人)の原則と例外
  2. 客観的不可分(複数事件)の原則と例外
スポンサーリンク

1.主観的不可分の原則と例外(複数犯人)

告訴の主観的不可分の原則

 親告罪告発・請求を待って受理すべき事件を告訴する場合に、「複数犯人のうちのひとりを(指定して)告訴・告発・請求したとしても、その効力は、犯人全員に対して生ずる。」という原則があります。これは、告訴・告発・請求の取消しについても同じです。

告訴の主観的不可分の例外~相対的親告罪(刑法244)

 一定の身分関係にある者(親族など)が複数犯人の中にいる場合は、告訴人がその者を犯人として指定しない限りは、その者に告訴の効力は及ばない、と解釈されています。 相対的親告罪とは、窃盗罪・詐欺罪・横領罪など、通常は親告罪ではないが、犯人が被害者の親族関係であるなど、両者の間に一定の身分関係がある場合に限って親告罪として扱われる罪のことです。

このような人間関係の場合に、被害者Cが犯人Bのみ告訴したときは、「主観的不可分の原則」の例外として、犯人A(Cの姉)は処罰されません。

C → Bだけ告訴 → Bのみ処罰

親族といえども処罰を求めたい場合は、犯人A(姉)のことをはっきりと指定した告訴をすることが必要です。 被害者Cが犯人Aのみ告訴した場合は「主観的不可分の原則」の例外とはならず、犯人A、犯人B共に処罰の対象となります。

C → Aだけ告訴 → A・Bとも処罰

また、 

このように犯人Aも犯人BもCと親族関係にある場合は、例外とはならず、

C → Aだけ告訴 → ABとも処罰
C → Bだけ告訴 → ABとも処罰

となります。

2.客観的不可分の原則と例外(複数事件)

告訴の客観的不可分の原則

 親告罪や告発・請求を待って受理すべき事件を告訴する場合に、ひとつの犯罪事実のうち一部分についてだけ告訴・告発・請求したとしても、その効力は、そのひとつの犯罪事実の全部に及びます。告訴・告発・請求の取消しについても同じです。
この原則は、上記の主観的不可分の原則の前提とされ、理論上、刑事訴訟法も、これを採用していると解されています。

告訴の客観的不可分の例外

科刑上一罪の一方が親告罪、他方が非親告罪で、被害者が同一人の場合

被害者Aが過失傷害罪①(親告罪)・住居侵入罪②(非親告罪)のふたつの被害を同時に受けたとき、被害者Aが非親告罪である住居侵入②のみについて告訴したときは、「客観的不可分の原則」の例外として、過失傷害①については告訴の効力は及びません。

被害者A → 住居侵入②(非親告罪)についてだけ告訴 → 住居侵入②のみに及ぶ

親告罪である過失傷害①について告訴したときは、例外とはならず、両方の罪に及びます。

被害者A → 過失傷害①(親告罪)についてだけ告訴 → 過失傷害①住居侵入②両方に及ぶ

これらは、告訴取消しの場合もあてはまります。

科刑上一罪の組成部がともに親告罪で、被害者が異なる場合

1.犯人 →損壊⇒ 被害者A・Bの共同所有のもの

 Aがした告訴 → Bに対する損壊事実に及ばない

2.犯人 →被害者A(犯人とは他人)の金庫をこわし(損壊)→被害者B(犯人の兄)のお金を盗んだ(窃盗)

Aがした告訴 → Aの被害のみ
Bがした告訴 → Bの被害のみ

東京高裁判例
1個の行為による2個の恐喝未遂が各々被害者を異にする親告罪であるときは、観念的競合関係にある数個の恐喝未遂について被害者のひとりがした告訴は他の被害者に対する恐喝未遂には及ばない

名古屋高裁判例
1個の行為で数人の名誉を毀損した場合に、被害者の一部がした告訴の効力は他の告訴をしない被害者に関する部分にまでは及ばない

今すぐ相談

スポンサーリンク

関連ページリンク

CategoryMenu

刑事事件の告訴告発

告訴・告発とは

告訴状サンプル書式

告訴期間(時効)・告発期間

公訴時効と刑罰の種類

▼刑事事件の分類

親告罪と告訴権者一覧

告発・請求が起訴要件の刑事罪

▼刑事事件として捜査してもらう

告訴・告発の方法

複数犯・事件への告訴効果と範囲

告訴・告発の取消と再告訴

告訴権の放棄の可否

▼虚偽告訴・不作為の不利益

虚偽告訴罪と不法行為責任

相続・受遺の欠格事由

▼警察が動いてくれないとき

公安委員会の監察へ

マスコミ利用へ

告訴・告発後

▼告訴・告発後のながれ

告訴・告発後の流れと結果通知

▼不起訴処分に不満があるとき

検察審査会への申立

付審判請求(職権濫用罪)

▼冤罪の救済

冤罪被害者の救済

不起訴処分時の補償 ~被疑者補償規程

▼犯罪被害者への補償

被害者給付制度

罪の条文・構成要件・時効

▼個人的な罪

殺人罪

傷害・暴行罪

危険運転致死傷罪

凶器準備罪

過失致死傷罪

遺棄罪

脅迫罪

逮捕・監禁罪

略取・誘拐罪

強制わいせつ・姦淫罪

住居侵入罪

信書開封・秘密漏示罪

名誉毀損・侮辱罪

信用毀損・業務妨害罪

窃盗・強盗罪

詐欺・恐喝罪

▼国に対する罪

公務執行妨害罪

犯人蔵匿・証拠隠滅罪

偽証罪

虚偽告訴罪

職権濫用罪

収賄・贈賄罪

横領・背任罪

盗品譲受・処分罪

毀棄・隠匿罪

▼社会に対する罪

放火・失火罪

爆発物・危険物の罪

出水・水利の罪

往来妨害罪

飲料水(浄水・水道)汚染罪

通貨偽造罪

公文書偽造罪

私文書偽造罪

有価証券偽造罪

支払用カード電磁的記録の罪

印章偽造罪

わいせつ・重婚罪

賭博罪

死体遺棄罪

刑法・刑事訴訟法

外国でも日本刑法が適用

特別刑法

その他

自首とは

刑事事件のおススメ本

スポンサーリンク