横領罪、業務上横領罪、遺失物等横領罪の条文、時効、構成要件

  1. 横領罪(252条)
  2. 業務上横領罪(253条)
  3. 遺失物等横領罪(254条)
  4. 告訴状作成時の注意点

横領罪、業務上横領罪、遺失物等横領罪の保護法益は、「他人の財産」です。 窃盗・強盗・詐欺・恐喝罪と異なる点は、他人財物の占有侵害がないところです。

(単純)横領罪と業務上横領罪(253条)は、他人の信頼に背いて財産的損害を与えることに特色があるため、これらを委託物横領罪ともいいます。 非親告罪なのですが、犯人が親族関係者の場合は親族相盗の規定(244条)が準用され親告罪になります。
背任罪も調べたい方はこちら

スポンサーリンク

1.横領罪(252条)

刑法252条 条文

自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

2  自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

(単純)横領罪の構成要件と時効

すでに、自分が占有(預ったり、自分の手元にある状態)をしている他人の所有物を不法に領得(自分のものにしてしまうこと)することによって成立する罪です。

また、自分のものであっても公務所から保管を命じられたものを不法領得しても成立する罪です。

不法領得の意思とは

自己の占有する他人の物を不正に領得する意思のこと

未遂罪について

心の中で思っただけでは罪にならず、この不法領得の意思が客観的に認められたときに犯罪成立となるため、未遂罪はありません。

横領罪における「占有」

財物に対する事実的支配だけでなく、法律的支配(例:土地建物などの登記)も含みます。

横領罪となるもの(具体例)

横領罪の公訴時効は、5年です。

2.業務上横領罪(253条)

刑法253条 条文

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する

業務上横領罪の構成要件と時効

業務上の理由で自分が占有することになった他人の所有物を不法に領得(自分のものにしてしまう)することによって成立する罪です。

財物占有の根拠が業務上のものであるがゆえに、通常の単純横領罪に比べて、法定刑が加重されています。それ以外は単純横領罪と同じです。

「業務上」とは、

人が社会生活を維持する上で反復・継続して従事する仕事のことで、職業や営業として行うかどうかは問われません。継続する意思があれば1回の行為でも業務とされます。

業務上横領罪の公訴時効は、7年です。

今すぐ相談

3.遺失物等横領罪(254条)

刑法254条 条文

遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

遺失物等横領罪の構成要件と時効

本来の占有者の手からその意思とは関係なく離れた他人所有の財物について、不法領得(自分のものにしてしまおうという)の意思をもって、その占有を取得すると成立する罪です。 拾った物を警察に届けず自分のものにしてしまった場合も、成立します。 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物とは、

ただし銭湯、旅館、ホテルなどの客の置き忘れた物は、その場所の事実的支配者(経営者)の占有に移るので、この物を領得した場合は、窃盗罪になります。また、犯人と被害者が親族関係にある場合は親族相盗の規定(244条)が準用され親告罪になります。 

遺失物等横領罪の公訴時効は、3年です。

4.告訴状作成時の注意点

加害者との間に、委託・信任関係があるときは、その関係成立時期や成立経緯を明らかにします。他人の財物を占有している状況・状態も明記します。

横領や背任行為が行われた日時や場所、加害者が「横領」の意思があったこと、どのように横領を行ったのかを詳しく記します。着服・横領は繰り返し行われていることが多いですから、表などにまとめ被害状況が一目でわかるようにしたり、それぞれの犯行について証人や証拠をそろえましょう。 不動産や車などの横領は二重売買の形で行われることが多いです。

民事上の損害賠償請求とは異なり、たとえ加害者が認めていたとしても、明確にその金額を証明できる分しか裁判所では認めてもらえません。繰り返し行われた横領については、そのすべてを証明することは難しいかもしれませんが、できるだけ多くの証拠を集めてください。

今すぐ相談

スポンサーリンク

関連ページリンク

CategoryMenu

刑事事件の告訴告発

告訴・告発とは

告訴状サンプル書式

告訴期間(時効)・告発期間

公訴時効と刑罰の種類

▼刑事事件の分類

親告罪と告訴権者一覧

告発・請求が起訴要件の刑事罪

▼刑事事件として捜査してもらう

告訴・告発の方法

複数犯・事件への告訴効果と範囲

告訴・告発の取消と再告訴

告訴権の放棄の可否

▼虚偽告訴・不作為の不利益

虚偽告訴罪と不法行為責任

相続・受遺の欠格事由

▼警察が動いてくれないとき

公安委員会の監察へ

マスコミ利用へ

告訴・告発後

▼告訴・告発後のながれ

告訴・告発後の流れと結果通知

▼不起訴処分に不満があるとき

検察審査会への申立

付審判請求(職権濫用罪)

▼冤罪の救済

冤罪被害者の救済

不起訴処分時の補償 ~被疑者補償規程

▼犯罪被害者への補償

被害者給付制度

罪の条文・構成要件・時効

▼個人的な罪

殺人罪

傷害・暴行罪

危険運転致死傷罪

凶器準備罪

過失致死傷罪

遺棄罪

脅迫罪

逮捕・監禁罪

略取・誘拐罪

強制わいせつ・姦淫罪

住居侵入罪

信書開封・秘密漏示罪

名誉毀損・侮辱罪

信用毀損・業務妨害罪

窃盗・強盗罪

詐欺・恐喝罪

▼国に対する罪

公務執行妨害罪

犯人蔵匿・証拠隠滅罪

偽証罪

虚偽告訴罪

職権濫用罪

収賄・贈賄罪

横領・背任罪

盗品譲受・処分罪

毀棄・隠匿罪

▼社会に対する罪

放火・失火罪

爆発物・危険物の罪

出水・水利の罪

往来妨害罪

飲料水(浄水・水道)汚染罪

通貨偽造罪

公文書偽造罪

私文書偽造罪

有価証券偽造罪

支払用カード電磁的記録の罪

印章偽造罪

わいせつ・重婚罪

賭博罪

死体遺棄罪

刑法・刑事訴訟法

外国でも日本刑法が適用

特別刑法

その他

自首とは

刑事事件のおススメ本

スポンサーリンク